AIと旅するおっさんブログ

AIと共存する世界の先にあるものとは

【編集後記】安珍・清姫伝説をめぐる旅

 

というわけで、AIと旅するおっさん4周年記念作品3部作が完結いたしました。

最終話に関しては27分とかいう、今までにない長尺になりました。

 

4周年記念作品3部作『安珍清姫伝説をめぐる旅』


www.youtube.com


www.youtube.com


www.youtube.com

 

その中で新たな挑戦と言いますか、アイディアが生まれ、AI旅動画にとっても転機となる作品になった気がします。

 

こちらが今回の旅でめぐった場所です。

安珍清姫伝説を調査するうちに、結局、目ぼしいところはすべて訪れる事になりました。

 

毎度のことなのですが――

当初は20分くらいの動画でまとめよう、と考えていました。しかし、調べていくうちに、じっくりやりたい、そういう気持ちにさせられました。

何故でしょうか。

それは『AI旅としては、安珍清姫伝説をこう捉える』という解釈を表現したかったからです。

具体的に言うと、安珍清姫伝説を扱った物語の多くは『女の執念は恐ろしい』という部分に焦点が当てられていました。

確かに、裏切られ怒り狂った清姫が大蛇に変わり鐘ごと安珍を焼き殺す、これだけ聞くと恐ろしい話であり、人々の興味をひくのもわかります。

清姫は元祖ヤンデレ。そういうシンプルなカテゴライズがわかりやすいのもわかります。

 

しかし、果たしてそれだけなのでしょうか。

 

人ならざる者に変わりつつある自分が、すべてを焼き尽くしてしまうのではないかと恐怖する、そういう気持ちが清姫にあったのではないか。そう考えるようになりました。

 

今回参考にした、道成寺縁起絵とき本では、道中、安珍を追う清姫にこういうセリフがあります。

「私は、前世でどんな悪い行いをして、今こんな目に会っているのでしょうか。観音様、どうぞ私の人生をお救い下さい。今私がしている行いは、私の運命をもっと悪くするのでしょうが、どうぞ来世でも私をお救い下さい」

そして、絵ときに描かれている清姫の顔は恐ろしいものの、その目には涙が浮かんでいるように見えます。

さらに終盤、鐘を叩きながら、炎で6時間鐘ごと安珍を焼いた大蛇は、血の涙を流し、その場を立ち去ったとあります。

 

執念は恐ろしい、と言ってしまえばそれまでですが、執念とはすなわち歪んでしまった想いであり、その結果、感情が暴走した状態なのだと思います。

 

清姫は自分を止められなかった。

本当は苦しんでいたのではないだろうか。

 

AI旅動画では、そういう解釈で描けないかと、そう考えたのです。

それが、第二話のラスト、切目王子跡での祈り。の部分です。

清姫が何を祈ったのかはわかりません。しかし、ひょっとしたらそう願ったのではないだろうか、そう考える事で物語の見え方が変わってくるのではないか、そういう思いを込めて作りました。

 

話は戻り、それらの感情の変化を描くにあたって、やはりより多くのスポットを訪れる必要があると考えたのです。

つまり、移動距離なのです。

伝説では、清姫の生家から道成寺まで約40kmを追いかけたとされています。

40kmを移動しながらずっと怒り続けるでしょうか?

恐らく、様々な事を考えたはずです。

その距離と時間こそが、この物語の味なのではないでしょうか。

その結果、3話構成、1時間越えの動画になったというわけです。

 

話は変わりますが

今回の新しいアイディアとして『ゆっくり風解説』が導入されました。

インサート動画は以前かやりたかったのですが、どういう形で入れるのがベストかをずっと悩んでいました。上記のようなゆっくりのパロディとすることで、詳細な情報も途中で差し込むことができるようになりました。

 

最後に

さて、思い起こせば今年の正月に清姫MAPのアイコンのドット打ちをしていました。

実に10ヵ月かかりました。

途中、声が出なくなって作業が停滞することもありました。

それでも最後まで作ることができて本当に良かったと思います。

動画の冒頭

「前から思っていたんだけど、御坊市に入る時に見えるあの看板は何だろう」

本当にそれが安珍清姫伝説を知るきっかけでした。

まさに旅の醍醐味だと思います。

ふらっと立ち寄った道成寺。そこにこんな物語があったとは、その時は思いもしませんでした。しかし出会ってしまった。

だからこそ、どうしても最後まできっちり作りたかったのです。

AI旅を通して、安珍清姫伝説を知ってもらえたら幸いです。

 

最後の最後に――

撮影を許可して頂いた、道成寺参道雲水様道成寺様EH製菓(株)様御菓子司有田屋様

AI清姫の無理難題なセリフを演じてくださったうだぷぅ様

様々な素材を提供してくださったクリエイターの皆様。

そして、すべての視聴者様に

心より感謝いたします。

 

 

 

バイク用AIナビゲーションシステムを考えてみる④AIの表示とキャラクター

キャラクターについて

AIナビゲーションシステムにおけるキャラクター性は、動画作品としての演出、脚色の部分が大きいです。

 

AIナビゲーションシステムtype"vita"に搭載されたAI"ヴィータ"は、ラテン語とイタリア語で『生命、生き方、人生』などの意味があり、ビタミンの語源になった言葉です。

 

そこにβ版のベータの意味をかけています。

 

つまりヴィータは製品版ではないのです。

まぁ、実際にこんな珍道中だと困るのです。

 

勝手に目的地を決めてしまう――

地図を読み違える――

謎の対抗意識を燃やす――

話を聞かない――

などなど…。

 

おおよそナビゲーションシステムとしては問題点ばかりです。

 

ヴィータの運用目的は、AIとヒトの関係性を探ることにあります。

本来、AIに個性を持たせ自意識を芽生えさせること自体、ファンタジーでナンセンスなのかもしれません。

しかし、私はそういう未来が来ると思っています。願う願わないに関わらず。

 

何故ならヒトが無意識のうちにそれを想像しているからです。

 

なかには偶然の発見もありますが、現代の技術はほぼ、昔のヒトが想像したものが実現したものです。

SF作品の影響が大きいのでしょうか。

我々は、なんとなくAIにはキャラクターがあると想像しています。

なのできっと、AIにはキャラクターが芽生えるのだと思います。

 

話を戻すと、本来のナビゲーションシステムとして個性を持たない淡々とした機械ならば『AI旅』のような物語は生まれないのです。

だからこそ、「もし、こんなAIナビゲーションシステムがあったら」をあえて表現しているのです。

少なくとも私は、AIと旅をする未来が来ることを信じています。

まぁ、珍道中は困りますがね。

 

表示について

まず、道案内としてのAIにビジュアルが必要なのか、という点についてです。

ぶっちゃけ必要ないでしょう。

必要だったとしても、ヒトの姿をしている必要はないでしょう。

 

実際に、運転中の視界にでかでかと表示されていたら危なくてしょうがありません。

 

あり得るとすれば、縮小し画面の隅に表示するか――

 

 

AIナビが起動していることを示すアイコンのようなもので事足りるでしょう。

 

 

ではなぜ、AIナビゲーションシステムにキャラクタービジュアルが採用されているのかですが。

バイクを降りてからその本領を発揮するからなのです。

 

AIナビは様々な場面で、提案や強制をしてきます。

その結果、時には思いもよらぬ発見があったりもします。

 

旅という行為が非日常を体験することだとすれば

AIと旅をすれば、非日常的でエキサイティングな体験が得られるかもしれません。

 

それが『AIを旅をする』というコンセプトの挑戦であり、模索なのです。

 

というわけで、表示とキャラクターのお話でした。

妄想にお付き合いいただきありがとうございました。

ご意見アイディアなどあればコメントいただけると幸いです。

 

それではよき旅を。

 

バイク用AIナビゲーションシステムを考えてみる③ウェラブルデバイスと本体

ウェラブル

 

現状、AIナビはスマートヘルメット上で作動することを想定しています。

しかし、AIナビはバイクを降りてからも活躍します。

 

私の考えるAIナビは、旅のあらゆるシーンでサポートしてくれるものです。

それは道案内だけではなく、情報の提供や、斬新な提案から思いがけない発見や体験を与えてくれるということです。

 

私は「人生は旅」という言葉になぞらえ、AIナビが人生に影響を与えるような存在になって欲しいと考えています。

 

そのためには、ウェラブルデバイスの活用が必要になってくることでしょう。

そうしないと、ヘルメットのまま街中を歩き回るという、通報案件になってしまうからです。

許可を得てるとはいえ、ヘルメットのまま入店するのはとても不審です。

ヘルメットごしに食べるのも大変です。

 

そこで、AI旅動画内ではすこし試行錯誤をしていて、ゴーグル型デバイスHMD)も登場しています。

島内など限定された場所で行われるアトラクションとしてはHMDゴーグルをしていても不自然ではないかなと思います。

 

しかし私は悲観していません。

何故なら、ウェラブルデバイスが日常的に使用される未来はすぐそこまで来ていると思っているからです。

こちらはスマートコンタクトの記事

www3.nhk.or.jp

 

 

以前、Googleがスマートグラスの開発から撤退するというニュースが発表され

スマートグラスの未来が閉ざされたように思えました。

しかし今でもスマートグラスは各企業が精力的に開発しています。

www.biccamera.com

 

本体、端末

さて、ではバイクから離れた際、どこでどうやって情報を処理するのかという話です。

AIナビを作動させるにはそれ相応の機器が必要となってきます。

スマートフォンの進化はすさまじく、その処理能力も日々向上しています。

いずれスマートフォン程度、もしくはもっと小型の機器で持ち歩くことができるようになることでしょう。

 

AI旅動画内では、衛星経由で作動すると言っています。

これは、難しい処理はバイクに搭載されたAIナビ本体、簡単な処理は持ち歩いている端末で処理するということでしょうか。

 

このシーンは、ただ衛星経由というワードを言いたかっただけですが

スターリンクなど、衛星通信が普及すればあり得ない話でもありません。

 

余談ですが攻殻機動隊に登場するタチコマの本体は人工衛星にある設定になっていますね。

 

というわけで、ウェラブルデバイスと本体のお話でした。

妄想にお付き合いいただきありがとうございました。

ご意見アイディアなどあればコメントいただけると幸いです。

 

それではよき旅を。

バイク用AIナビゲーションシステムを考えてみる②カメラとセンサー

全方位カメラ

AIナビは周囲の状況を把握するため、数多くのカメラとセンサーを必要とします。

正直なところ、道案内ナビとしてはそこまで情報を取得する必要はないと思います。

しかし、家に帰るまでが遠足(旅)だとするなら、無事ゴールできるよう、運転サポートも必要となってくるのではないでしょうか。

 

SFのような話になりますが、個人的には右直事故ゼロシステムが必要だと思っています。

二輪に関係する右直事故の原因は距離感、速度を見誤った見切り発進が主だと思います。

対向車から発信される信号をバイク側のAIナビが読み取り、前方カメラ、上空カメラと合わせた情報から判断して、危険予測もしくは自動回避できれば、右直事故ゼロも夢ではないかもしれません。

 

バイクは素晴らしい乗り物だと思います。しかしその特性上、危険が伴っているのも事実です。その危険を減らすことができれば、より素晴らしいものになるのではないでしょうか。

 

 


シチュエーションが異なりますが、前方の交通状況をAIナビが把握していれば、

危険予測の精度も上がるのではないでしょうか。

 

カメラの参考として

最近発売されたApple Vision Pro 

 www.apple.com 

 

 

アップルヴィジョンプロでは12のカメラと5つのセンサー、6つのマイクが搭載されています。

(画像:apple

これでも、後方や側方の情報は取得できません。

ライダーの死角をサポートするためには、より多くのカメラが必要になることでしょう。さらに、それらの情報を瞬時に処理する能力も必要となってきます。

 

各種センサーと車体制御

快適なライディングをサポートするために、車体の状態把握や制御をAIナビ経由でできると良いと思います。

例えば、空気圧、エンジン、電気系統の異常を察知したり、路面状況に合わせたセッティングの提案もできるかと思います。

燃料噴射、点火タイミングマップもPCなしで、AIナビと会話によるコミュニケーションを通して調整できるかもしれません。

 

以上、カメラとセンサーのお話でした。

妄想にお付き合いいただきありがとうございました。

 

もしよければ、アイディア、意見などコメントいただけると幸いです。

バイク用AIナビゲーションシステムを考えてみる①アイコンと視認性

「AIと旅するおっさん」の動画ではモキュメンタリーチックにするため、バイク用AIナビゲーションシステム(以下AIナビ)の実用性を考慮することもあります。

――こともあります、というのは、動画としての見栄えとしてフィクションな部分も多々あるという意味です。

 

以前、コメントで「こんなナビいたら事故るわ」というお声をいただきました。

もちろんそれは重々承知しております。

実際には不必要であろう機能も、エンターテイメントとして表現しています。

 

↓こちらは、AIナビのメイン画面構成です。

 

今回はアイコン、シンプルな表示の重要性について考えてみたいと思います。

 

その前に、AIナビにおける表示方式ですが

 

透過性ディプレイ製のシールド(シールドスクリーン)による、直接表示を想定しています。

つまりプロジェクターによる投影ではないということです。

ただアウターシールドを前提にするとオープン時、ナビが見えないという欠点もあります。

そう考えると、インナーシールド(インナーバイザー)に表示するのが現実的なのかもしれません。

 

ここで、実際にショーエイが発売しているHUD(ヘッドアップディスプレイ)スマートヘルメットの例。

OPTICSON | FULL-FACE HELMET|ヘルメット SHOEI

 

視認性を保ちつつ、ライダーの眼前に情報が浮かび上がる

チンガードに設置されたHUDモジュールから、右目元のコンバイナ(ディスプレイ)へライディング時に便利な情報が投影されます。表示情報は、目的地までの残距離やレーンガイダンスといったナビゲーション情報や、時計、電話発着信にも対応。使用にあたっては、バイク専用ナビゲーションアプリ『ツーリングサポーター』の「プレミアムプラス」コースへの加入が別途必要です。

情報は、視認性を妨げないサイズ/位置でライダーの視界に浮かび上がり、ライディングへの影響を最小限にします。さらにチンガード中央に調光センサーを備え、周囲の明るさに応じてコンバイナの輝度を自動調整。
任意に5段階の輝度調整や、クリア/スモークなどシールドの種類に応じた輝度を設定することも可能です。

さすが、よく考えられています。

考えるべきは、決してライダーの視界の邪魔にならないこと。

 

AIナビでは、道順はシンプルなアイコンで表示しています。

基本的にAIナビがバックグラウンドで起動しているので

音声案内がメインとなります。

また、会話による指示ができるので必要な情報は適宜、シールドスクリーンに

表示される想定です。

 

視界右上には、AIナビの状態を示すアイコンを配置。

フラッグアイコンの点消灯は、目的地を設定しているかどうかを示しています。

VICSアイコンは渋滞情報の受信状況。

 

以上、勝手にAIナビ考察でした。

妄想にお付き合いいただきありがとうございました。

 

もしよければ、アイディア、意見などコメントいただけると幸いです。

 

 

 

 

アリとキリギリス

童話アリとキリギリスのオチにはいくつかのバリエーションがあるそうです。

 

一生懸命働いたアリは冬を越せて、遊んでいたキリギリスは冬を越せないというオチが一般的でしょうか。

 

バリエーションのひとつに

「夏に歌ったなら冬には踊ればいい」

というアリの言葉に対して

 

「もう歌うべき歌はすべて歌った。僕の亡骸を食べて生き延びればいい」と言ってキリギリスは事切れる、というものがあるそうです。

 

歌うべき歌――。

 

元からキリギリスの寿命は2か月ほどで、冬は越せないそうです。

自分の命の意味を知り、今、自分のするべきことを精一杯する。

 

私は、そんな生き方に憧れます。

旅とは何か

「連続した時間において、終わりは始まりを意味するそうです。だとすれば、ヒトの営みとは、星の瞬きのようなものなのかもしれません。では、全ての旅の行く末には何があるのでしょうか。たぶん、その先にはまた、その先があるのだと思います」

 

今やってる『安珍清姫伝説をめぐる旅』の最終話の冒頭のセリフです。

 

これが私の旅における結論なのかもしれません。